2012.05.13 Sunday
キマイラ・ガァデン(2)
JUGEMテーマ:自作小説
ナツミとその友人は、クラスで2人だけ帰り道が一緒だったことから親しくなった。その当時、子供はいくらでもいた。みんなで仲良く遊びましょうという言葉は珍しくないものだが、2人は自分たちだけで静かに遊ぶことが好きだった。おままごとをしたり、折り紙やあやとりをしたりと駆け回って遊ぶ同じクラスの子達からは少し浮いていたのかもしれない。ナツミは学校から帰ると友人の家で過ごし、夏休みには泊まらせてもらったこともあるのよと目じりを下げて本当にうれしそうに話していた。
しかし、その楽しみは長く続かなかった。その年、友人は何の知らせもなくいなくなってしまったのだ。ナツミが母親から聞けたのはたった一言。「お父さんのお仕事がうまくいかなくなってしまったのですって」だった。つまり、私が教科書の中でしか知らない「昭和恐慌」である。
その友人のお父さんがどんな仕事をしていたのかはわからない。けれど、昭和恐慌の前には戦争で景気のよかった時期というものがあった。裕福であったようだし、貿易関係の仕事をしていたのではないだろうか。